ドンシャ(夜着)
北国の寒気の厳しさに耐える為に、冬の夜これを被って眠った。
表と裏に麻布と古手木綿をつぎ足し、綴っている。中には晒した「麻屑オクズ」が入っている。どのくらいの麻糸を作った時に、それ程の麻屑が出るのか、想像がつかない。
何年分も丹念に貯め、使用したものであろう。ひとりで持てない程の重さである。
北国の寒さ厳しい夜、囲炉裏の片隅でこれを着て座り、また眠る時にもこれを着たまま寝た。
ひとつのドンシャに親子が裸でくるまって眠る。
「田中 忠三郎 コレクション -サキオリから裂織へ-」「物には心がある。」より抜粋