Thursday, October 29, 2020

DON'T TRY

 



かけがえのない毎日。ありがとう。


だだっぴろいライ麦畑みたいなところで、小さな子供たちがいっぱい集まって何かのゲームをしているところを、僕はいつも思い浮かべちまうんだ。

何千人 もの子供たちがいるんだけれど、他には誰もいない。

つまりちゃんとした大人みたいなのは一人もいないんだよ。

僕のほかにはね。


それで僕はそのへんのクレイジーな崖っぷちに立っているわけさ。で、僕がそこで何をするかっていうとさ、誰かその崖から落ちそうになる子供がいると、かたっぱしからつかまえるんだよ。

つまりさ、よく前を見ないで崖の方に走っていく子どもなんかがいたら、どっからともなく現れて、その子をさっとキャッチするんだ。そういうのを朝から晩までずっとやっている。ライ麦畑のキャッチャー、僕はただそういうものになりたいんだ。


ライ麦畑でつかまえて / J・D・サリンジャー